おかあさんになりたい。 ~天使がくれたタカラモノ~
何度も何度も。


私の赤ちゃんの命の鼓動を探してくれていた。


長い時間。

長いけど…やめないで欲しい時間。

その手をやめた時に変わる世界を見たくない。

まだ…希望をもっていたい………




待つ間に頭の中に浮かんだたくさんの人の顔。
赤ちゃんの誕生を心待ちにする家族の顔…


陽…………陽……助けてよ…



浮かんでは消える顔たちを力なく思い浮かべ続けていた…………




やがてその時はきてしまった。

先生はゆっくりと、言い聞かせるように話し始めた。







「ここに赤ちゃんが見えますね。ここが頭でここが手、これは足。そしてここが心臓。」



昨日は確かに動いていたその場所。
一週間前は力強い音を響かせていたその場所。


今は凍りついたように動かないその場所を指差す。




「今日は…残念ですが、動いていないんです。」



先生の声が遠くに聞こえる。




何を言ってるんだろう。


心臓が、動いてないって………?




「この前は元気だったのに、おかしいね…残念なんだけど………」





その先は言わなかった。



私もわかってる。




赤ちゃんがもう……動くことがないってこと………
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