少年陰陽師 奥州平泉奇譚
「同じクラスの小泉漣。顔色悪いぜ。八雲なら先輩の部屋で話し込んでるぞ」


僕が聞こうとしたことを全て話し、漣は僕をヒョイッと抱きかかえ強引に部屋へ連れ戻した。


抵抗する気力もないほど体がだるい。
ひどく体力を消耗している。


昼間の八雲の大袈裟なフォローを思い出した。

僕は今日、初めて言葉を交わした相手にしがみついた、躊躇うことなく……。

自分の体力と気力を補うために。


「祐?」

指先から流れ込む精気で体力を回復させながら思う。

自分は なんて浅ましい生き物だろう。
人の精気を吸うために見境無く。


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