少年陰陽師 奥州平泉奇譚
「どうした?」



ふいに潤が尋ねるのと、僕が立ち止まるのとほぼ同時だった。




「祐?」



潤が、僕を見つめる。




「誰かと思えば、昨日のガキじゃねえか。

昨日の連れは、どうした?」



呑気そうだが、声に怒りのようなものを感じる。



昨日、正門前で僕が伸した三年生だ。




「潤、八雲に知らせて!」



僕は、潤に耳打ちをする。



「ちょうどいい。

昨日はこっちも油断してたが今日は──やっちまえ!!」




いきなり、襲いかかってきた。




僕は身をかわしながら、「潤、早く!」と叫んだ。




潤は、勢いよく駆け出したが3年生の1人が潤の行く手を遮る。



僕は、素早くもう1人を交わし、潤を遮る3年生の足を蹴り、隙を作って潤を逃がす。


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