少年陰陽師 奥州平泉奇譚
『祐、貴方には辛い思いをさせていますね』



微かに聞こえる優しい声。



『貴方をずっと見守ってきました。


貴方の命と引き換えに人の姿を保てなくなって以来、ずっと……。


今は、呪詛をかけられ森羅万象を司る役目すら果たせずに』




僕は、雨音に途切れながら聞こえる優しい声を聞き逃すまいと懸命に耳を澄ませた。




『貴方が、中尊寺で流した涙が微かな力となり、雨を呼ぶことが叶いました』




「……母さん?」



途切れ途切れに聞こえる和かな声。




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