レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
 信徒として教会で洗礼を受けていながら通わない信者をあぶり出しては、対象者を取り囲み、教会に通うように強要したり暴行をくわえたりしている。
 
 狂信的な彼らのやり方は、一般の信者からは眉をひそめられているけれど――歓迎する者も多い。

 眉をひそめて、執事はエリザベスの突き出したカップに三杯目のお茶を注いだ。

「女性の家に石投げつけて救われるのなら、警察も神様もいらないわよ」

 エリザベスの言葉は辛辣だ。

「救われたくて女性の家に石を投げつけているのではないでしょう。いさめているのではないですか? 日曜日に礼拝に行かなかったかもしれませんし」

「バーに勤めている女性だからって、日曜日に教会に通わないって決めつけるのはあまりにも短絡的すぎるわね、パーカー! 男爵家の当主だって、日曜日の礼拝をさぼる人はさぼるんですからね!」

 パーカーの回答には鼻を鳴らしておいて、エリザベスはベーコンエッグに勢いよくナイフを突き立てた。半熟の黄身がとろりと流れ出てくる。

 それはともかくとして、今のエリザベスの発言には一つ聞き捨てならないところがある。パーカーは眉を吊り上げた。
< 11 / 251 >

この作品をシェア

pagetop