レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難

 彼のことは嫌いじゃない。
 鉱物のことを話す目はきらきらしていて、好感を感じずにはいられなかった。
 彼が気にしなければ、エリザベスは話を進めてもいいような気がしている——いずれ、誰かと結婚しなければならないのなら、彼はいい相手だ。

 リチャードとなら穏やかに過ごしていけるだろう。彼ならエリザベスの商売によけいな口を挟んだりしないはずだ。
 彼の方が、エリザベスでは嫌だと言わなければの話ではあるが。
「そう。では慎重にならなければね——先方にご迷惑をおかけしたくないでしょう?」
「ええ、叔母様。わかっているわ」

「もうダスティ・グレンとは個人的には合わないように。いいわね? わたしは、あなたのためを思って言っているの」
「……ええ、わかっているわ」
 レディ・メアリが言いたいことはよくわかる。ダスティと必要以上に関わり合って、妙な噂がたつのはよくない。
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