レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
 
 大陸帰りで、たしかにこの国で育った淑女達とは違う。

だが、たいそうな美少女であるのは間違いがないし、国内有数の富豪であるマクマリー家の資産については、喉から手が出るほど欲しいと思う家だっていくらでもあるはずだ。

 表面上だけでも受け入れる姿勢を示す人達はいくらでもいるだろう——それが、彼らの本音ではないことくらいエリザベスはすぐに見抜くだろうけれど。
 
 そうやって、普通に振る舞っているように見せかけておいて、裏では何ごとかが着々と進行しているような気がしてならない。
 
それは、幼い頃の彼女をよく知っていて——なおかつ、戻って来た彼女の一番身近で接していたからこその懸念だった。
 
日に日に減っていく瓶の中身を見つめながら、パーカーは考える。この薬瓶の中身がなくなるのと、彼女の行動の真実を知ることができるのと、いったいどちらが先なのだろうかと。
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