レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
ごめんなさい、だけど
 アンドレアスは、使いやすい男だった。そしてそれなりにまあまあ有能であった。

 エリザベスが、仕事とパーカーを偽ってアンドレアス商会を訪れた三日後には、アンドレアスの方から面会の申し込みがあった。

「ちょっと行ってくるわ」
「……またですか、お嬢様」
「会いたいって言うんだもの。屋敷に来てもらってもいいけど……?」

 パーカーは渋い顔をしていたけれど、エリザベスは押し切った。

 パーカーも後ろ暗いところのあるアンドレアスを屋敷に入れるより、先方に訪れる方がまだましだと判断したらしい。アンドレアスと裏の支配者のつながりをパーカーが知るまでは、先方を訪れていたのだから。

 今日もアンドレアスは近くの店から料理を配達させていた。
 今日のメインは香草で焼いた白身の魚に、クリームソースをかけたものだ。同じようにサラダやスープを女性秘書がテーブルの上に並べていく。
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