レディ・リズの冒険あるいは忠実なる執事の受難
使ってはいけない特技を有効活用してみたり
 それから決行の日までは、エリザベスは平静を装うことを自分に強く言い聞かせた。他の人達に不審に思われてはならない。

 そしていよいよ決行の日当日を迎える。エリザベスは、朝食を終えるのと同時にパーカーに午後の予定を告げた。
 
「午後からは、買い物に出かけることにするわ。あなた達は自由に過ごしてちょうだい。あ、でも……メアリ叔母様には内緒よ。お誕生日プレゼントを探しに行くんだから」
「では、百貨店ですか。では、送る間を回すように手配しておきましょう」

「お願いね。百貨店でいいものが見つからなかったら、アンティークのお店を見て回ろうと思っているの」
「かしこまりました」

 ひとまずパーカーにはさほど怪しまれないですんだようだ。
 ほっとしたエリザベスは庭に出て、トムの手によってよく手入れされた庭園を歩き回る。本当なら仕事を始めるところなのだけれど、今日はその前に頭をすっきりさせておきたかった。
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