オレンジの片想い
...頭が、真っ白になった。
聞き返すこともできないくらいに。
わたしの驚く顔を見て、彼は溶けたように笑って、言葉を紡ぐ。
「いつかできたらとかそんな曖昧じゃなくて、ちゃんと日も決めて。ずっと、俺のそばにいてほしい。だから...結婚、してくれませんか?」
聞き終わらないうちに、勝手に涙がこぼれた。
嬉しくてうれしくて声も出なくて、何度も頭を縦に振った。そして、涙に揺れる視界に愛しい人を映して、わたしは声を振り絞る。
「...っ、はい...ずっと、そばにいます」
言った瞬間に、ふわりと抱きしめられた。そしてわたしも、彼の背中に手を回した。
「ごめん、急で指輪も用意できてなくて」
「もう言葉だけで十分だよ。それに...」
彼の腕の中におさまりながら、首にかかったネックレスを見せる。
「これも、あるからね」
...このリングは、わたしが24歳になったときの、陽翔からの贈り物。
貰った時から、今までずっと手放したことはない。
わたしが微笑むと、陽翔もまた笑う。
「それは誕生日プレゼントだし」
「うん、でも指輪だよ」
「そうだけど。ちゃんと結婚指輪も買おう」