オレンジの片想い

式が終わって、それぞれの帰路へつく。


みんなに挨拶したあと、陽翔と手を繋いで一緒に帰る。同棲はしていない。だから家は別々だけど、方向は同じなので、ふたり肩を並べて駅へと向かう。



「あー...綺麗だったね」


「ああ、あのふたりもお似合いだな」


「うん!やっぱ結婚っていいな...」



言ってから、はっとする。

なんかわたし、急かしてるみたい...?


その意味にとらえられたくなくて、慌てて弁解しようと言葉を探す。だけどうまく見つけられなくて、ひとりあたふたしていると、先に陽翔が言葉を発した。



「雪葉」


「え...は、はい」



ぴた、と彼の足が止まるから、私の足も止まる。


彼の顔を見上げると、何を思っているのか、改まった表情で。意図が読めなくて、不安が胸に広がり、変な動悸がした。



なんだろう、怖い。


思わず下を向いたら、陽翔は繋いでいなかった手も取り、正面に向けさせられた。




そして、ふと目が合った瞬間、わたしが逸らす前に彼は、





「....雪葉、結婚しよう」




と、確かにそう言った。
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