神様のおもちゃ箱

俺が動揺していると、輪はすべて知っているような顔で笑った。

俺は参りました、と頭を下げ、本当のことを全部話した。


井伏のこと、由紀子さんのこと、望乃のこと――。


まとまりがない話になったが、輪は頷きながら聞いてくれた。

全部話し終わると、輪が少し黙ってしまったので、俺は輪の着ている水色のシャツをぼーっと見ていた。


「多分、望乃は健吾のことが好きだよ」


心臓が跳ねた。。

俺は「いや、でも…さ…」と視線を逸らして濁す。


本当は……。


「知ってたくせに」



そうだよ、知ってたよ。

ずっと前から。


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