神様のおもちゃ箱

俺は棚の上のコバルトブルーの土星を見た。


すべてを、井伏のせいにしてしまいたかった。

由紀子さんと俺を会わせたのは、あの人だから。


もし変な頼みなんて聞かなければ、出会わずに済んだのに。

こんなに苦しくて、辛くて、みじめな想いしなくて済んだのに。


由紀子さんが井伏を忘れるために、俺と一緒にいるんなら、

ますます俺はあんたを恨むよ。


由紀子さんが心から愛したあんたを。



俺は、弱い。

いや、みんな弱い。



狭い部屋でトライアングル。

小さな寝息と、ペンを走らす音、紙が擦れる音。


それだけが響いた。


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