神様のおもちゃ箱

思わないよ。

思うわけない。

分かってるんだ、そんな事は。


『お前はまだガキだ』


分かってる。

分かってる、けど――――


くやしい。



『由紀子はお前より、もっと色んなものを見てきたよ』


その後はお互い無言で、でもいつ井伏が電話を切ったのかは曖昧で、俺はただ悔しくて両腕で顔を覆うようにして泣いた。



ちくしょう、

何も分かってなかったじゃないか、俺は。



自分の無力さを呪った。

この年の差を呪った。


井伏の声が耳に響き、頭の中には由紀子さんの笑顔が浮かび、涙が浮かび、ポケットから落ちた学生証の間抜けな自分の写真がとてもみじめだった。


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