白い闇に囚われてー刹那の風花ー【完】


理波ちゃんからその存在を聞いて、調べたのだ。
 


写真でしか見たことがないけれど、白髪がすごいカッコいい矍鑠としたおじいさんだ。
 


襖の近くで座っていたらしい滝篠教授に、壱星は見下ろす位置で問う。



「今日は帰りが早いな?」



「トキさんから理波くんが来ていると連絡があったからの」



「話は全部聞いてたろ? ハナっから全部」
 


暗い笑みを見せる壱星。


……マジ?



「すまんと思ったが、我が家の嫁御のことだったから、聞かせてもらったよ」
 


教授は立ち上がった。


大学から帰って来てそのままだったようで、ビシッとしたスーツ姿に、傍らには鞄もあった。
 



壱星が目を眇める。




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