あの花のように


「なっちゃんあそこ行きたい」



「うん。じゃあ行こ」



向かった先は庭園。



なっちゃんの家に来ると必ずここで話す。



石で作られた椅子に座った。



「ねえ、なっちゃん」



「ん?」



「どうしてなっちゃんの家の庭には向日葵が多く植えられているの?」



「ばあちゃんが向日葵好きだから植えてた」



「そうなんだ~」



夏になると庭はほとんど向日葵で埋め尽くされている。



「なっちゃん…」




私が呼んでもなっちゃんは向日葵に夢中な様で気づかなかった。




──チリーン…




やけに静かになる風鈴の音が



時間の経過を表す。
< 40 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop