あの花のように
「なっちゃんあそこ行きたい」
「うん。じゃあ行こ」
向かった先は庭園。
なっちゃんの家に来ると必ずここで話す。
石で作られた椅子に座った。
「ねえ、なっちゃん」
「ん?」
「どうしてなっちゃんの家の庭には向日葵が多く植えられているの?」
「ばあちゃんが向日葵好きだから植えてた」
「そうなんだ~」
夏になると庭はほとんど向日葵で埋め尽くされている。
「なっちゃん…」
私が呼んでもなっちゃんは向日葵に夢中な様で気づかなかった。
──チリーン…
やけに静かになる風鈴の音が
時間の経過を表す。