恋じゃなくてもイイですか?


テレビの前に並ぶデブ猫「ミーちゃん」(今ではすっかりこの頃の体型に戻りました)の写真や、壁に並ぶ「やにれ荘」の歴史写真の数々を興味深そうに眺めている。


私はハルニレのお手伝いに回り、ミルクと砂糖を用意する。


コーヒーの香ばしい匂いが食堂に広がると、ハルニレがカップを並べたお盆を、食堂の真ん中にでんと置かれた大きな木のテーブルに置いた。


確かハルニレのお婆さんから貰ったクッキーがあったはずと私は戸棚を物色した。


「お、いい匂い」


香りにつられて桐生くんが食堂に入って来た。


「さぁ、お茶にしましょう」とハルニレがそれぞれのカップにコーヒーを注ぐ。


「遥くんはコーヒーにミルクと砂糖は入れる?」


ここがチャンスと言わんばかり、笑顔を向けて遥くんに訊ねる。


壁に並ぶ額に飾られた写真を見上げていた遥くんは、こちらを一瞥すると眉間に皺を寄せた。


そして当然のように無視をする。


「何で?私、何か嫌な事した?」腑に落ちない表情をしていたのを察知したのか、桐生くんがフォローに入る。


「遥、訊かれたんだから答えろよ!ごめんね、奏ちゃん。あいつ、人見知りなんだ」


「人見知り……」




< 73 / 89 >

この作品をシェア

pagetop