黒薔薇~美しき欲望~








「あなたたち、未成年だけど、特別に出入りの許可してあげようか?」







ぐっと体を前に押し出して、軽く胸元を強調させてみればゴクリ、と喉仏が動いたのが分かった。








やっぱり高校生は素直だ。







クスリ、と思わず笑みが漏れる。







「…いつでもおいで」







そしてカバンの中から、あたしの名刺を取り出す。








それに【sara】とサインする。






「これ見せれば入れるから」







スッと机の上に出せば、奥野がそっと受け取った。







本当はあのクラブはだいたいは成人していたら男女関係なく入れる。







でもその奥に行くには、ある程度の審査を潜らなければならない会員制となっていて、個室とか色々ある。






その奥へ女が行くには、会員の男の同伴じゃないと絶対に通れない。







ちなみに会員は男しかなれないし。







その奥へ進んで、やっとあたしが男たちを選ぶ広場へと行けるのだ。







でも会員じゃなくても、あたしのサインが入った名刺があれば一度だけ入ることができる。







それをこいつらは手に入れたのだ。







“北”の暴走族だから。








北と南の後ろ盾が弱いから、もしこの暴走族を引き込めば、北にある程度の後ろ盾を手に入れることができる。







たぶんこの暴走族のけつ持ちが、北で一番大きい組のはずだから、あわよくば婚約者にぞっこんの北の若頭を落としたい。







北の勢力も手に入ったら、もう無敵だ。







……南のあのおっさんだけは、あたしが生理的に無理だから諦めるしかない。






でも最近そのおっさんに隠し子がいたことが発覚したらしく、次期若頭と言われている存在がいる。






ちなみに噂では、鳶が鷹を産むって感じで容姿は普通に優れているらしい。








そいつとの接触が出来れば、南もあたしのもの。






つまり、中央だけじゃなくて東西南北……あたしのものだ。






でもそれはそれで少し怖い。






さすがにそこまで大きな権力を抱えきれる自信はない。







今でさえ少し精神が崩れてるのに。







……と、一人ボーっと考えていれば護衛が近づいてきた。








「……サラさん。冬夜さんが、随分お怒りのようで」







「うそ、やだ」







慌てて時計を見れば、結構な時間が経っていて。








「ごめんね、わざわざ時間取らせちゃって。名刺、悪用しちゃ嫌よ?」








財布から一万円を出して机に置き、微笑んでから席を経った。








「あ、お釣りは好きに使ってね?」








そう言い残し、慌てて護衛と喫茶店を出た。







あーー、ヤバい。








冬夜怒らせちゃった。







少しこの後のことを考えて憂鬱になりながらも、一歩進めた感触にニヤリと微笑んだ。
















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