容疑者はヒトリ。

『きゃぁぁぁぁあっ』



信じられない光景に洋子は悲鳴をあげた。






と同時に、友を救わねばという思いが働いた。

『サヤカ!!!!サヤカ!!』
駆け寄ってサヤカの身体にふれた。


その身体はひんやりと冷たく、硬くなっていた。



『嫌…嫌よサヤカ!おばさんっ早く救急車っ』



硬直したままだった孝子は、ハッと気を取り戻し、ポケットから携帯電話を取り出した。



『もしもし、救急車をっ…お願いします、はやく!!!』










どれだけの時間が過ぎただろうか。


ふたりは何も出来ずにただただ倒れたサヤカを見ているだけだった。


救急車のサイレンと共に、救急隊員、そして救急隊から事情を聞いたのだろう、

複数の警察官らしき人物がバタバタと入ってきた。





救急隊員は、サヤカを見た瞬間、諦めの表情を見せた。そして警察官たちに目配せをした。

『合掌。』


ひとりの警察官の言葉にその場にいた男たちは、みなサヤカに向かって手を合わせた。




『やめてよ…サヤカはまだ生きてるかもしれないじゃない!!はやく運んでよ!!』

取り乱す洋子を孝子が抑えた。




『もうだめなのよ…洋子ちゃん。落ち着きましょう。大丈夫、警察官の方々に任せましょう。』






孝子の言葉は理解できた。
しかし洋子の涙は止まらなかった。










きっと…サヤカは誰かに殺されたんだわ。
洋子の頭の中にこんな事がぼんやりと浮かんだ。
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