擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
「先生にお願いがあるんだけど」
「お願い?」
「生徒の相談にのるのは、教師の役目でしょ?」
都合良く教師扱いされていることはわかっている。
それでも突っぱねることができない私は渋々「お願いって?」と訊ねていた。
「来月、演劇部が舞台をやるのは知ってるでしょ?」
「毎年やってる舞台よね。父兄にも人気だって聞いたけど」
「そう。楽しみにしている人が多いんだけど、衣装係の1人が手を怪我して衣装作りが困難らしい」
「・・・もしかして」
「察しが早くて助かるな」
「私にその衣装係の代役をやれと?」
結城君は眩むような満面の笑みを作って頷いた。
「それって、同盟違反じゃないの?」
「先生は服飾が得意ってことにしておくよ」
「コスプレ服を作ってるとは言わないってこと?」
「そう。これなら違反じゃないでしょ?どう?演劇部の生徒達を先生が救ってあげるってのは」
結城君は早くも私の扱い方を習得しつつある気がする。
服飾が得意なんて一言も言ったことの無い私が突然衣装係の代役に現れることに訝しまれるのではないかと思ったものの、それがすぐにコスプレと直結するとは確かに考え難い。
上手いように操られているだけのようで不服ではあるけど、困っている生徒がいて、私が助けてあげられるかもしれない状況で見捨てることはできない。
それに、演劇部は結城君との因縁とは無関係だ。