擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
私が承諾すると、結城君にとっては予想通りの答えだったのだろうけど、満足げに笑っていた。
「少し、安心した」
「安心?」
「生徒会長としての結城君には偽りないんだなって」
演劇部を救おうとする姿は、生徒の代表として相応しいと思った。
ふてぶてしい態度は癇に障るけど、優等生の結城肇の全てが擬態化しているわけではないことを感じて安心した。
「単純だなぁ」
生徒会長の顔が崩れ、クスクスと小馬鹿にしたように笑う結城君を見て私は呆然とした。
「貸しはあちこちに作っておくと、自分の有利になるんだよ。そして、使えるものは使う」
私を指差して、「使えるもの」と皮肉るように微笑んだ。
「やめたら?俺の中にどうにか優等生を見つけ出そうとするの。俺は先生が思ってるような優等生じゃないからさ。俺が動くのは自分の利益になる時だけ」
結城君は残念でした、と舌を出して私を挑発した。
「明日、演劇部に行くから放課後、生徒会室に来て」
「・・・行くけど、私が助けるのは演劇部であって、結城君の利益の為じゃないから」
「そういうことにしといてあげるよ」
顔をしかめると、結城君は右手を上げて「じゃあね」と背中を向けた。
完全に結城君の術中にはまっているけど、演劇部を救うんだ、と心の中で何度も言い聞かせた。