擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
「そういう風に良くわからない物に対して悩んだりすればいいんだよ」
「何それ」
「それが思春期ってものでしょ」
「大人ぶって、わかった気にならないでよ」
「ぶってるんじゃなくて、大人なの」
少しだけ自分が優位に立てた気がして、足取りが軽くなった。
そしたら、後ろから肩を掴まれて結城君が唇を耳元に寄せて低い声で呟いた。
「俺はそんなに単純じゃないよ」
「ぎゃあっ!!」
耳を押さえて、慌てて結城君から距離を取ると、手の甲で口元を隠しながらクスクスと笑っていた。
「ほら、大人ぶってた」
「そういうこと、やめてよ!びっくりするから!」
「びっくりしたの?それじゃあ、もう少し可愛くびっくりしてくれたら良かったのに」
どうして、結城君にびっくりのリアクションを指定されなくちゃならないのか。
結局は結城君のペースに戻されてしまい、私は熱くなった顔を隠しながら一刻も早く結城君から逃れる為に早足に職員室に戻った。