涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜



「秋山君は…知ってたの?」

「何を?」

「鞠さんと怜と付き合ったこと…」


いつ、秋山君は知ったのだろうか?

涙を流すより前にそれが気になった。


「…昨日は、久しぶりに家に帰ってくるって言ってたから楽しみにしてたんだよ、俺だって一応。」


それが示すのは、ただひとつ。


「まさか、彼氏の家に泊まるとはねぇ…アイツ。」


軽い女、と嘲笑うように吐き捨てた言葉とは反対に、泣きそうな顔をする彼に改めて思う。

彼は…秋山君は私と同じだ。


「秋山君だって我慢しちゃダメだよ。」


一定の距離を保つこの距離で、だけどお互いの苦しさが他の誰よりも理解できる。


「っ…くそっ…」


目元を手で隠し、唇を噛む秋山君を見ながら私も涙を流した。





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