涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
やっと家の前まで歩いてきて、そして、別れの言葉を告げる。
「じゃあ、ね。」
まるで最後のお別れ、みたいだ。
なんて、考えて、馬鹿みたいだってやっぱり感じて。
鍵穴に鍵を差し込むと、
「ねぇ、夏希…」
怜が後ろから、あたしにギュッと抱きついてきた。
それだけで、心臓が暴れまわって仕方が無い。
「…お別れ、みたいに言わないで。」
そう震えた声で言った怜の方を向くために、抱きつかれた腕を解いて、向きをかえる。