涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜




「怜。
幼なじみなんだから、いつだって会えるでしょ?
お別れなわけないじゃん。」


同じことを思った、なんて口から絶対にこぼさないように。

そして、嬉しいと思わないように心にカギを掛けた。


「だって…」


寂しい、と素直にあたしに伝えてくる怜が羨ましくなって。

同時に苦しくなった。

怜が掴むあたしのワイシャツの裾。

その手が小刻みに震えてるのに気付いた。


「…鞠さんに怒られちゃうよ?」


だから、怜を突き放すために、そして、あたしにもう一度ストッパーをかけるために、鞠さんの名前を出す。

鞠さんの名前を出せば、怜は…


「…そ、だね…」


強く出れないと分かったから。


< 61 / 420 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop