涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
「怜。
幼なじみなんだから、いつだって会えるでしょ?
お別れなわけないじゃん。」
同じことを思った、なんて口から絶対にこぼさないように。
そして、嬉しいと思わないように心にカギを掛けた。
「だって…」
寂しい、と素直にあたしに伝えてくる怜が羨ましくなって。
同時に苦しくなった。
怜が掴むあたしのワイシャツの裾。
その手が小刻みに震えてるのに気付いた。
「…鞠さんに怒られちゃうよ?」
だから、怜を突き放すために、そして、あたしにもう一度ストッパーをかけるために、鞠さんの名前を出す。
鞠さんの名前を出せば、怜は…
「…そ、だね…」
強く出れないと分かったから。