今さら恋なんて…



「…じゃぁさ」


「はい」


「グラスの淵に砂糖とか塩とか付いてるやつ。作ってくれる?」


「はい。スノー・スタイルですね。かしこまりました」


「お願いします」


カウンターに頭突きする勢いで頭を下げたあたしに、

「はい。少々お待ちください」

って、羽生くんは苦笑いで答えてくれた。


スノー・スタイルのカクテルも、バーに来ないとなかなか飲めないものだから楽しみだ。


隣で龍哉も興味津々の顔をしていた。


羽生くんは口の広いソーサ型のシャンパングラスを用意すると、半分に切ったレモンに、グラスの淵をぐるり、と押し付けた。


小皿に広げた塩に、グラスの淵を纏わせ、軽く塩を払った羽生くん。


そこまでの所作だけでも、見とれてしまったあたしは、ほぅ、と感嘆のため息を漏らした。




< 110 / 479 >

この作品をシェア

pagetop