今さら恋なんて…
「…じゃぁさ」
「はい」
「グラスの淵に砂糖とか塩とか付いてるやつ。作ってくれる?」
「はい。スノー・スタイルですね。かしこまりました」
「お願いします」
カウンターに頭突きする勢いで頭を下げたあたしに、
「はい。少々お待ちください」
って、羽生くんは苦笑いで答えてくれた。
スノー・スタイルのカクテルも、バーに来ないとなかなか飲めないものだから楽しみだ。
隣で龍哉も興味津々の顔をしていた。
羽生くんは口の広いソーサ型のシャンパングラスを用意すると、半分に切ったレモンに、グラスの淵をぐるり、と押し付けた。
小皿に広げた塩に、グラスの淵を纏わせ、軽く塩を払った羽生くん。
そこまでの所作だけでも、見とれてしまったあたしは、ほぅ、と感嘆のため息を漏らした。