今さら恋なんて…



「俺と居る時のお前が和んでくれたら嬉しいと思う…」

シゲハルは至極真面目な顔をして、カクテルを飲んだ後、ぐいっ、とあたしに近付いて…顔を寄せてきた。


「……」


「…避けねぇの?」

鼻が触れ合いそうな距離で訊かれる。


「…そろそろ引っぱたこうと思ってた」


「…そっか。じゃぁ、やめとくか」

少し甘い香りを残して、シゲハルの顔が離れていく。


「…他の女と遊んでる、なんて知ったら奥さん悲しむよ?」

あたしは仕切り直しの様にワインを飲むと、シゲハルを見た。


「あ?奥さんなんて居ねぇよ?…結婚してるなんて言ったっけ?」


「…あんたの年で結婚してないとかおかしいと思うけど…」


「じゃぁ、俺と結婚してくれよ」


「…言うと思った」




< 126 / 479 >

この作品をシェア

pagetop