今さら恋なんて…



「…何でいつもそうなんだよ。好きになって付き合ってるんじゃないのかよ」


「…好き、だったはず…だよ」


「頼りねぇなぁ。お前、絶対“仕事と俺とどっちが大事?”って訊かれたことあるだろ?」


「……」


図星だった。


“どっちが大事”なんて、空気読めない女しか吐かないと思っていたセリフを、あたしは何度も男の口から聞いていた…。


それだけ…彼氏をほったらかしにしてたんだろう…。


「図星かよ…。仕事に打ち込むのはいいことだけど…ふと気が付いた時に1人だったらどうするんだよ。淋しすぎるぜ?」


「…分かってるわよ、そんなこと」


「だから俺の嫁になれ、って言ってるのに」


「それとこれとは別問題でしょ?」


「そんなことない。俺はつーを1人にしない」


「……そんなの…みんな最初はそう言うのよ…」

きゅん、と懐かしい音を立てた心臓が苦しくて、あたしは細い声で呟いて、グラスに残っていたワインを一気に飲み干した。



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