今さら恋なんて…
「つー、飲み過ぎだ。…仁、何かチェイサー出してやって」
シゲハルはマスターを呼ぶと、そうオーダーした。
「おぅ。珍しいな、つーちゃんがこんなに飲むなんて」
マスターはそう呟きながら、あたしの前にレモン水を出してくれた。
「…そんなに飲んでないよ」
あたしは上品なグラスに入っていたレモン水を飲み干す勢いで喉に流し込む。
さっきから心臓が暴れて仕方がない。
…これじゃぁ、あたしがシゲハルに恋してる、なんて脳みそが勘違いしそうだ。
酔いを醒まさないと…。
「あー。マスター、もう1杯お水と…スプリッツァ…」
「…まだ飲むのかよ。まぁ、割っただけよしとするか」
シゲハルはケラケラと笑うと、アイス・ブレーカーを飲む。
「はいよ。水と、スプリッツァ。レモン、欲しいよな?」
「うん。ありがとう」
あたしは小皿に盛られたくし形のレモンを受け取り、スプリッツァのグラスに搾る。
ぶわっ、と泡が立って、カクテルが余計に美味しそうに見える。