今さら恋なんて…
「……」
声を掛けられずに、戸惑っていると、
「よぉ、つー。お疲れさん」
って、手を挙げるシゲハル。
そして、道路を突っ切ってあたしの前までやってくる。
「な、何で…?」
消え入りそうな声で訊くと、
「自分の女、迎えに来ちゃいけないのか?」
って、シゲハルはくわえタバコで笑った。
ドキッ…
思わずきゅん、とする胸。
「…こんなことで赤くなってんな。可愛いな、お前」
シゲハルは、すっ、とあたしの頬を撫でる。
「……」
ドキドキが収まらない。
こんな些細な言葉と仕草なのに…。