今さら恋なんて…
はっ。
でも…
「…な、何で店の場所知ってるのよ」
そう。
お互い連絡先すら知らないんだから、あたしが働いてるお店をシゲハルが知ってるっておかしくない!?
すると、シゲハルは、
「…は?」
って、眉根を寄せて、首を傾げた。
「“は?”じゃないわよ。あたしシゲハルにお店の場所とか教えてないもん」
あたしはテンパって、普段なら絶対使わないような言葉遣いでシゲハルに言い返した。
「……つー」
「な、何よ」
「マジで覚えてないわけ?」
「な、何がよ」
「……」
シゲハルはまたため息を吐くと、スーツの胸ポケットを探る。
そして、取り出したものをあたしに見せた。
「!」
それは、あたしの名刺で…しかも、ご丁寧にケー番とアドレスまで手書きで添えられていたのだ。