今さら恋なんて…
「……“おーちゃん”のままで結構です」
「そ?んじゃ、それで」
「……はい」
「どうしても“ちゃん”は付けたいんだ。店長、面白い。“南ちゃん”って女の子みたいだよね」
守本は小さな声でそうアシスタント達と笑い合う。
「店長はスタッフで遊ぶのが好きなんですね」
央輔は色々諦めた様にそう呟く。
「嫌?」
「嫌じゃないですよ。俺は店長の下で働けること、嬉しく思ってますから」
「……」
「“褒めても何も出ないわよ”って顔しないでください。何か欲しくて言ってるわけじゃないですから」
「……ん」
「さぁ、出来ました」
央輔はそう声を掛け、椅子を回す。
「ん。綺麗に出来てる。ありがと、おーちゃん」
「いいえ」
パーマの掛かった前髪のすき間から覗く瞳を細めた央輔は、あたしを立ち上がらせてくれた。