今さら恋なんて…
「おーちゃんは“それなら自分も名字で呼んで欲しい”って言ってるんだと思いますけど…?」
そう言ってあたしの横に立ったのは、レセプションを任された純香だ。
彼女とも古い付き合いだ。
元々はお客様だった彼女をあたしがナンパして…働いてもらうことになった。
「……そうなの?おーちゃん」
あたしは純香が置いていった今日の予約表を確認しながら、央輔を見上げた。
「……店長が付けてくれたアダ名は気に入ってはいるんですけどね…」
央輔は奥歯にものが挟まったような言い方をしながら、あたしの髪を仕上げていく。
「ふぅん」
央輔は央輔なりにあたしに気を遣ってるんだろう。
“女の上司”って言うのは…きっと嫌なものだろうなぁ…。
「おーちゃん」
「はい」
「アダ名、“南ちゃん”にする?」
「……」
「ぶっ」
黙り込む央輔と、吹き出す守本。