今さら恋なんて…
「ああ。今の状況じゃ、引越も難しいからな…」
「そうだね…。今の店からここ、遠いからなぁ…」
「ああ。だから、今まで通りでいいんじゃないか?店が軌道に乗るまでは」
「うん。…仕方ないよね…」
あたしはシゲハルに促されるまま、ボールペンを握って、記入を始めた。
「証人は仁と…俺の会社の弁護士に頼もうかな」
「え?会社に弁護士居るの?」
あたしはびっくりして、思わずボールペンを落としそうになる。
「ああ。仕事相手が海外だから、色々助言してもらってる」
「へぇ…」
「離婚する時も、そいつに相談すれば俺から慰謝料ふんだくれるぞ?」
シゲハルは何だか楽しそうに笑いながら、そんな物騒なことを言った。
「なっ…結婚する前から離婚とかおかしくない!?」
「冗談だよ、冗談。今度会わせてやるよ。まだ若いけどいいやつだから、訊きたいこと訊いていいぞ?金なんか取らせねぇし」
「……」