今さら恋なんて…



「どうぞ。お掛けください」

あたしを促した斉藤さん。


事務所はこじんまりとしていて…とっても静かだった。


「はい」

あたしは応接セットの黒いソファーに座ると、カバンからさっきの封筒を取り出した。


「…私は席を外していた方がいいでしょうか?」

斉藤さんはコーヒーをあたしの前に置いてくれると、そう訊いた。


そう言われ…あたしはかなり迷った挙げ句、

「……もう泣いたところ見られてしまったので…どちらでも…」

なんて呟いた。


斉藤さんは、ふわりと笑うと、

「分かりました。では…デスクにおりますので…」

って呟いて、静かに去って行った。


あたしは斉藤さんを見送ると、ゆっくり、白い便せんを開いた…。



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