今さら恋なんて…
「仕事にかまけてるあたしが悪いの…だから…まともな恋愛なんて出来ないんだって…分かってる…」
「それは違いますよ」
「違わないよ」
「違います。その…シゲハルさん…は、司さんが幸せになることを望んでたんですよ?彼の思いまで踏みにじるんですか?」
「……」
「分かりますよ?苦しい思いなんて誰だってしたくないことくらい…。でも…逃げちゃダメですよ」
「……」
「司さんが…そんなんじゃ…シゲハルさんだっていつまで経っても心配して…司さんから目が離せないんじゃないですか?」
「……龍哉…」
龍哉の真剣な言葉に、思わずそう呟いた時、個室の壁がノックされた。
ひょっこりと羽生くんが顔を覗かせる。
「あ。…すみません。司さん、少し待っててください」
「うん…」
龍哉は立ち上がって個室を出て行った…。