今さら恋なんて…
乗ったと思ったらすぐ、エレベーターが止まったからだ。
表示板を見ると、8階だ。
誰かが乗り込んでくるのだろう、と扉の前から避けようとしたあたし。
しかし、
「降りますよ。司さん」
って、龍哉は呟いて、あたしの背中を押した。
「え?えっ?」
エレベーターと龍哉の顔を交互に見ながら思わずそう言うと、
「前見て歩かないと転びますよ?」
って、龍哉に笑われる。
そして、背中に添えていた手があたしを支える様に腰に回される。
「え、いや、ちょっと、何で笑ってるの?」
少し前まで泣いていた自分を一瞬で忘れたあたしは、思わず龍哉に噛み付いた。
「司さん、面白いですね。キョドりすぎですよ」
龍哉は面白そうに笑った後、1つのドアの前で足を止めた。
胸ポケットからカードキーを取り出した龍哉は、そのドアを開ける。