今さら恋なんて…



「……」


な、ななな何てスマートな動きっ。


思わず呆然と龍哉を見上げている間に、あたしの体は室内に引き込まれ、閉じられたドアの中、部屋に明かりが灯った。


「りゅ…龍哉…?」

思わずカクカクと震える様に龍哉を見上げる。


すると、一度あたしから手を離した龍哉は、

「もう、帰るの面倒じゃないですか?泊まっていきましょうよ」

なんて、2人分のコートをハンガーに掛けながら涼しい顔で言う。


「……」


な、何言ってんの?


「あ、いや、えっと…」

動揺したせいで、一気に忘れていた酔いが蘇ってきたあたしは、再び龍哉に腰を取られながら騒ぎ出す。


「どうしたんですか?…せっかくスイートルームにしたので…部屋見ませんか?」

龍哉はけろっ、とした顔でそう部屋の奥を指さす。


「ス、スイート?」


あたし、こんなところに泊まるお金持ってない…。



< 261 / 479 >

この作品をシェア

pagetop