今さら恋なんて…
「……」
冷静な龍哉が恨めしい…。
全然酔ってないよね?絶対…。
「ほら。早く外見ましょう?夜景がウチの売りですから」
龍哉はそう言うと、あたしの腰を引いて、部屋の中に連れて行く。
通路の先には大きなソファーが置かれたリビング。
右にも左にもドアがある。
…どこに続いてるわけ?あのドア…。
スイートってことはベッドルームが別にある、ってことだもんね…。
このリビングだけでもあたしの部屋くらいあるのに…。
恐ろしいわぁ、ここ…。
「ここは部屋の作りは豪華なんですけど、階層が低いので、一番最後に埋まるスイートなんですよ。だから、今日も運良く空いていました」
龍哉はそう説明しながら、窓辺まであたしを案内してくれる。
辿り着いた窓辺には、足下に散りばめられた街の明かりを眺めて微笑んでいる様な三日月が闇にぽっかり浮かんでいた…。