今さら恋なんて…
たじろいだあたしの心の中を見透かした様に、
「大丈夫ですよ。司さんに宿泊費は請求しませんから。それに、社員は安く泊まれるんです。…って言っても、ここに泊まるのは俺も初めてのことですけど」
なんて、龍哉は綺麗な笑顔で笑った。
「い、いや…でも…」
「…何か顔赤いですよ?大丈夫ですか?」
「えっ…」
「辛いならベッドまで運びましょうか?」
龍哉の手に力が籠もって、あたしは思わず慌てる。
細身の龍哉にあたしを抱き上げられるもんか。
「だ、だだだ大丈夫っ。ちゃんと歩けるからっ」
「…そうですか?」
龍哉はまだ疑う様に眉根を寄せる。
「う、うんっ」
あたしは髪が乱れるほど首を縦に何度も振った。
「…分かりましたから…。そんなに頭振るとまた酔い回りますよ?」
龍哉はくすくすと笑いながら、そう首を傾げる。