今さら恋なんて…



あんなドン引きされるようなこと、もう二度としない、って思ってたのに…。


と、とにかく、龍哉探さなきゃっ。


“変なもの見せられた”って帰っちゃったかもしれないけど…。


あたしはベッドを飛び出し、

「りゅ、龍哉っ?」

って叫びながら勢いよくドアを開けた。


そこは昨日、居たはずのリビングで…。


その真ん中に…

「あ。起きました?おはようございます」

って、キラキラな笑顔を浮かべた龍哉が立っていた…。


「……」

帰っちゃったわけじゃない、って分かってほっとしたあたしは思わず息を吐く。


しかし、龍哉は困った様な笑みを浮かべると、

「髪の毛、大変なことになってますよ…?」

って囁きながら、あたしの前にやってくる。


「え、えっ…」

動揺するあたしをよそに、龍哉はあたしに手を伸ばして、そっと手ぐしで髪を梳かしてくれた。



< 270 / 479 >

この作品をシェア

pagetop