今さら恋なんて…



「そう、かなぁ…。“ホテルマン”でいいのにねー」


「そうですよ。まぁ…美味しいから行きますけどね」


「そうだね。それを差し引いても美味しいからね」


「はい。…また行きましょうね」

龍哉は“アメリカン・レモネード”を飲んだ後、あたしに近付いて微笑んだ。


「う、うん」

すっ、と近付いた龍哉の顔に思わずドキドキしながら頷くあたし。


「……次のカクテルをご用意しましょうか?」

羽生くんは何だか楽しそうに笑いながらそう訊いてくれる。


「あ、えっと…どうする?龍哉」

いつもあたしが選んでるから…何だか悪いと思って、あたしは龍哉に振った。


「え?俺が選んでもいいんですか?」


「ん」


「…司さん、ビール飲めます?」


「あんまり飲まない…かな。でも、あれ…えっと…“ブラック”…何だっけ」


「“ブラック・ベルベッド”ですか?」

言葉に詰まったあたしに、羽生くんが助け船を出してくれる。



< 327 / 479 >

この作品をシェア

pagetop