今さら恋なんて…
「そう、かなぁ…。“ホテルマン”でいいのにねー」
「そうですよ。まぁ…美味しいから行きますけどね」
「そうだね。それを差し引いても美味しいからね」
「はい。…また行きましょうね」
龍哉は“アメリカン・レモネード”を飲んだ後、あたしに近付いて微笑んだ。
「う、うん」
すっ、と近付いた龍哉の顔に思わずドキドキしながら頷くあたし。
「……次のカクテルをご用意しましょうか?」
羽生くんは何だか楽しそうに笑いながらそう訊いてくれる。
「あ、えっと…どうする?龍哉」
いつもあたしが選んでるから…何だか悪いと思って、あたしは龍哉に振った。
「え?俺が選んでもいいんですか?」
「ん」
「…司さん、ビール飲めます?」
「あんまり飲まない…かな。でも、あれ…えっと…“ブラック”…何だっけ」
「“ブラック・ベルベッド”ですか?」
言葉に詰まったあたしに、羽生くんが助け船を出してくれる。