今さら恋なんて…
「司さん?」
「……」
「司さん。家、着きましたよ?」
「……んー」
あたしは龍哉の肩に顔を擦り付ける。
「……」
「…どうします?お客さん」
「あ。とりあえず降ります。これで…」
龍哉は財布を取り出すと、タクシー代を運転手さんに払う。
「ありがとうございました」
龍哉はおつりを受け取ると、財布をしまった。
「…よっと」
龍哉はあたしの体を抱き上げると、タクシーを降りる。
そして、走り出したタクシーを見送ると、
「…司さん。部屋の鍵…」
って、龍哉はあたしに囁いた。
「んー」
あたしは無意識のまま、カバンを漁る。
そして、取り出した鍵を高々と掲げた。