今さら恋なんて…



「…お邪魔します…」

器用に鍵を開けた龍哉が、あたしの部屋に入っていく。


「…靴…は、あとでいいか…」

龍哉は独り言を呟きながら、部屋に上がっていく。


「意外に片付いてますね…。ベッドルームはこっちですか?」

ちょっと失礼なことを呟きながら、龍哉は部屋の中を進み、寝室に辿り着く。


そして、ゆっくりとあたしをベッドに寝かせた。


「靴、脱がせますね。…まさかまたこんな機会が訪れるとは…」

龍哉はまたぶつぶつ呟きながら、あたしの靴を脱がせる。


ひとまず靴を玄関に置いてきた龍哉は、あたしに布団を掛けるために戻ってきてくれた。


「…もうすっかり眠ってますね…。俺、帰りますね。おやすみなさい、司さん」

ふわり、と髪を撫でられた感触に、あたしは思わず無意識のまま、龍哉の腕…正確には龍哉のジャケットの袖を掴む。


「え…ちょ…司さん…?」

龍哉のちょっとひっくり返った声を聞きながら、あたしは本格的に意識を手放した…。



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