今さら恋なんて…



とりあえず起こそうと、龍哉の顔を覗き込む。


「……」


ホントに綺麗な顔…。


つるん、とした頬。


あたしがカラーしたアッシュの髪。


伏せられた瞼の向こうには…あの、キャラメル色の瞳がある…んだよね。


そんなことを考えながら顔を覗き込んでいたら、あたしの髪が肩から滑り落ちて、龍哉の頬を撫でた。


「あ」


「…ん」

一瞬、眉間に皺を寄せた龍哉が、目をゆっくり開けた。


「…つ、かささん…」

少し枯れた声に思わずきゅん、とする。


「ご、ごめん。龍哉…」


「ん…えっと…何が、ですか…?」

ゆっくり起き上がった龍哉は、そうあたしに問う。


「あたしのせいで帰れなかったんだよね?ごめん」


「…いいえ。俺の方こそ勝手に泊まってしまってすみません…。司さんの寝顔見てたら俺まで眠くなってしまって…」



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