今さら恋なんて…



そんなあたしの腕をそっと引いて椅子から立ち上がらせてくれた龍哉は、

「わざわざ来てもらってすみませんでした。今日は紹介したい人が居まして…」

って、あたしの様子をチラチラと伺いながらそう呟いた。


「……」


紹介…?


何?あたし、龍哉の彼女でも紹介されちゃうの…?


そんなことを考えていたあたしの正面で、龍哉とお揃いの制服を着た彼女が、

「初めまして。私、太田梢(コズエ)と申します」

って微笑みながら、あたしに名刺を手渡した。


名刺には“Front Clerk 太田梢”と書かれてある。


「……あ。すみません。私、前園司と言います」

名刺に反応したあたしは、慌てて自分の名刺を取り出し、彼女に手渡した。


「ありがとうございます。すみません。わざわざご足労頂いて…」

太田さんは名刺を受け取ると、柔らかい笑みを見せる。



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