今さら恋なんて…



「い、いえ…」

あたしはそう呟きながら、龍哉をちらりと見上げた。


「太田さんは前々から“司さんのお店に行きたい”って言ってたんですけど…最近になって“その前に本人と会いたい”と…言われまして…」

龍哉は苦笑い混じりにそう説明した。


先輩の命令には逆らえなかった、ってこと…?


確かに太田さん…強そうだしなぁ…。


「……あの一件が原因じゃないわよね?」

軽く睨みながら龍哉に訊くと、


「それもありましたけど…どんな素敵な方かと興味もあったんです」

なんて、太田さんに返されてしまった。


「……」

太田さんの発言に…龍哉だけじゃなく、あたしまで思わず苦笑いした。


素直…なんだろうけど…怖いわぁ…。


「遊川くんの髪型、スタッフからもお客様からもすごく好評で。私もぜひ今度お願いしたいです。鷹岡くんも、前園様のお店通ってるのよね?」

太田さんはアタルにまで話を振る。



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