今さら恋なんて…
「…どうして水族館にしようと思ったの?」
「遊園地、って年でもないし、動物園は屋外だから…司さん、日焼けとか気にするんじゃないかと思って…。映画でも良かったんですけど、せっかくなら電車に乗ってみよう、って」
「なるほど…。確かに日焼けはしたくないわ」
ホームに照り返す日差しが眩しくて、思わず目を細めながらそう返す。
すっかり春めいてきたから…紫外線が気になる季節だ…。
「日傘買って差します?」
龍哉はニヤニヤ笑いながらそう訊いた。
「要らない。龍哉が影作りなさいよ」
そう言いながら龍哉を見上げると、
「いいですよ。俺は焼けてもいいので」
なんて、涼しい顔で返されてしまった。
「…このイケメンが」
「…また悪口ですか?」
「そうよ。体だけじゃなくて脚まで細くてムカツク」
そう龍哉に文句を言ったところで、ホームに電車が滑り込んできた。