今さら恋なんて…
「司さんだって細いじゃないですか…。さぁ、乗りますよ」
あたしの腰を絡め取った龍哉は、電車に乗り込んだ。
案の定車内は混んでいて、座れそうにない。
「俺に寄りかかってもいいですからね」
あたしにバーを握らせながら、龍哉は囁いた。
「……ん」
混み合う電車内だからか、すごく至近距離で囁かれ、ちょっとドキドキしてしまった…。
さっきまでムカついてたのに…。
電車が動き出して、久し振りの揺れに体が対応出来なくて…あたしは龍哉の肩にぎゅぅ、って顔を押し付ける様に体を預けてしまった。
龍哉は柱みたいにビクともせずに立ったまま、
「大丈夫ですか?立っていられないなら抱っこしてあげましょうか?」
なんて、小さな声で笑いながら囁いた。
「……結構よ」
恥ずかしくて龍哉から離れたいのに、がっちりと腰に回された腕のせいで、全く身動きが取れない…。