今さら恋なんて…



「……顔、近いです」


「龍哉に言われたくない」


「……」


「ほら。お腹空いたでしょ?食べようよ」


「……はぁ」

首を傾げたあたしの頬に、龍哉の吐息が掛かる。


思わずドキッ、としていると、

「そんなに綺麗な目で見つめないでください」

って龍哉は囁いて、おでこをこつん、とぶつけてきた。


「!」

突然の龍哉の行動に、あたしは背伸びをしたまま固まってしまった。


“顔近い”とか言ってた本人が、もっと接近してるんですけど!?


あたし、ここからどうしたらいいんだ!?


はっ。そうだ。


背伸びしてるから、背伸びやめればいいんだ。


あたしはそう考え、恐る恐るヒールを地上にくっつけていった。


すると、龍哉は、ゆっくりと背中を真っ直ぐにすると、

「…すみません。自分から“近い”とか言っておきながら…」

って、ぼそぼそと呟いた。



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